ジースプロジェクト代表の澤村です。 今回はワンオフマフラーについて取り上げて行きたいと思います。 皆さんはマフラーに何を求めているのでしょうか?見た目のデザイン、音、性能、車とのマッチングではないでしょうか? メーカーの代表として日々努力、失敗を繰り返し励んでおりますが、やはりお客様全ての理想をかなえるマフラーをラインナップするのは不可能です。(すいません!) シャコタン車には地上高を出来るだけ稼ぎ車体スレスレに、バンパーを交換している車にはそのバンパーに合った開口部、長さ、デザインが必要ですし、住宅街に住んでいる人は静か目に、逆に誰もが注目するほど大きな音に、と言う人もいます。いろんなパーツを付け、改造して、最後にマフラーをという車、逆にノーマル車、さすがにきりがありません。ですから他のメーカーのほとんどは自社で製作したエアロ専用又はノーマル車で合わせたマフラーしかなく、音やテールの長さ、地上高など分からないままお客様はマフラーを購入していると思います。 何万、十何万も使って!!これではいけません。私自身納得出来ません。それがワンオフマフラーを作るきっかけとなりました。 しかし、メーカーがラインを止めて1台1台手作りでタイコを設計し、パイプを曲げ、リフトで上げた車に溶接して製作して行くなんて出来ません。企業経営でそんなことをしていたら倒産してしまいます。したがってチューニングショップさんだけがこういったマフラーを作っていました。しかしながらパイプベンダー(専用曲げ機)を持っておらず、タイコ形成機、その他マフラー作りの機械、技術を持っていないため、とても荒削りなマフラー、出たとこ勝負の音、性能しか提供できず、これに満足できないお客様からの電話、問い合わせが沢山来ました。私も趣味が高じてこの会社を作ったのですから、よしやってやろう!と思い一台お客様の注文を受けてみました。 いざ製作してみるとその大変さ、難しさ、ロスの大きさに気づき私自身本当に苦労しました。音の大きさ一つとっても「車検対応で窓を閉めて走って普通に心地よく音が聞こえるくらい」で依頼を受けたとします。これは大体 90dB 〜 92dB の音量です。 |
||
| このページのトップへ | |
||
タイコ内部構造(一例) | ||
そのほかの問題点としては、外車などマフラーの結合部分のフランジが特殊な形状をしているので、その車1個のために設計製作をしないといけない。 |
||
フランジ(純正マフラーとの結合部)画像は特殊なタイプ | ||
ワンオフマフラーでも車検対応の依頼が大半のためそれを証明するために各種測定をし、そのデータを記載したまさに証明書を作らないといけません。 |
||
プレート(マフラー部に貼り付け)、証明書 | ||
ゼロから全てを作るため1週間ほどお客様の車を預からないといけません。そこで代車が必要になります。また、キズなど後々のトラブルも回避しないといけません。 そして最後に金額です。本当は非常に高価にならざるを得ません。しかしこれではお客様が頼めません。また、その時その時で価格がアバウトになってしまう。ですからワンオフでありながらリーズナブルで、誰が商談してもきちんと金額が出せるマニュアルが必要です。考えた挙句に遂に一つ一つクリアーして、ワンオフマフラーを受ける事が出来る体制を整えました。 まず、工場自体を1個のマフラー注文で動かす受注体制に、したがってジースには在庫自体存在していなく、どんな注文でも受けてから1個のマフラーを作り出しております。注文が無いと工場自体何もしていません。効率は悪いですがこれからの時代大量に在庫を作るなんて過去の方法だと思います。 注文書にはテールの絵まで書き込んで出具合、跳ね上げ具合、バンパーのカットなど細かく確認していただき最後にお客様のサインをいただくようにして、お互い気持ちよく商談できるようにしました。代車の用意、細かい金額設定、測定数値記入の証明書、全てを用意し、ワンオフマフラーが受け入れ出来る体勢を整えました。どうか遠慮なく、そして不安無くいつでもお越しください。 金額は大体当社市販品の 20〜30%UP程度でまさにリーズナブルです。 |
||
| このページのトップへ | |
||
TIG溶接(ステンレスの製作にはこの溶接を使用します。) | ||
最後にお客様へのお願いです。 ワンオフマフラーだから何でも出来る、とは行きません。よく「フェラーリの音を出してくれ」と言われますが、あれはフェラーリのエンジンだからこそ出る音です。 マフラーでは車のエンジンの持っている音質まで変えることは出来ません。また、出力特性まで変えることも出来ません。 それとかけ離れた音の大小を依頼されるとパワーバランスを崩さなければなりません。それでも音にこだわる方はその辺を覚悟して頼んでください。何もパワーを求めるだけではありませんのでどうぞ出来るだけ言ってください。心行くまで話し合い、出来る限りの理想のマフラーを作りましょう!! |
|||
| このページのトップへ | |
|||
ここからは私の考え、15年間毎日ワンオフマフラーを作り続けたノウハウ、うんちくを書きたいと思います。どうか最後まで読んでください。 まず今は昔と違って(かなり前に作ったお客様、申し訳ありません!)音の大きさ、トルク特性等ほとんど外しません。その都度タイコを作り直していたら商売にならないですよね。車の排気量、気筒数、直列かV型か、ショートストロークかロングストロークか等により音の大きさ、排気圧力が分ります。サーキットではなく公道を走るのですから理想は低中速でトルクアップして乗りやすい、そしてたまに回す高回転もノーマルより伸びが有る、全域でひと回りパワーを乗せた感じのマフラーが目標です。 まずターボ車。 これは比較的簡単で、タービンという大きな排気抵抗が低中速トルクを決めてしまっています。アクセルレスポンスはタービンが回り、加給圧がかかり、トルクが乗ってくるためまったく望めません。したがってマフラーの役割は出来るだけストレートに抵抗無く排気を抜いてやることです。パイプ径によりMAXパワーが分りますのでその範囲で消音をします。ですからターボの場合今後チューニングする予定などをお知らせいただき、何馬力まで対応させるのか教えてください。それでお客様が求める音の大きさに出来るのか答えます。あくまで音とパワーは比例しますので、出来ないことははっきり出来ないと言います。 |
|||
タイコ内部構造色々なタイプがあります。 | |||
NAの場合。 これは奥が深く面白い。ですから逆に難しいです。低中速を優先するか、高回転を優先するか、音を優先するかお知らせください。 それで構造がまったく違ってきます。先程も書いた様に全域で一番いいパワー特性は1点しかないのでそれを基準にタイコ構造を変えていきます。 マフラーはフロントパイプ部、中間部、リア部で温度がだんだん低くなっていきますので、半分なら体積は4分の1です。それは踏まえてパイプ径、タイコの構造、内径を決めます。 最大のトルクを稼ぎつつ、ふん詰まりの無い口径は決まっていますので(企業秘密です)そこを外さないで製作します。左右出しなら半分の体積を緻密に計算します。後は好きなテールデザイン、バンパーとのマッチング、跳ね上げ角などお知らせいただきお客様の理想のマフラーを作っていきます。 以上長文お付き合いいただき有難うございました。 何でも言って、話し合い、納得のいくまで説明しますのでご理解いただけたら車を預かりいたします。きっと一度ワンオフマフラーを体験してしまうと、車を買い替える度にワンオフしか満足できず毎回私に車を預けてしまいますよ!今のお客様もそんな人ばかりです。 ワンオフマフラーの一例のパワーチェックグラフを載せておきます。 |
|||
ZZE128 Will VS 1.8L(27psUP) | GRS182 ゼロクラウン(36psUP) | ||
乱筆お許しください。 |
| このページのトップへ |