ASTON MARTIN DB9
アストン マーティン DB9 映画007でも有名なこのイギリスの車にずっと憧れていて、50歳になったら購入したいと思っていました。なぜなら若者には似合わない独特なオーラがあり、お洒落でスーツが似合う大人の車の感じがしてならないからです。スーパーカーとは一線を画してあくまでジェントルに振る舞い、競争なんてせず、でもいざとなったら6L V12エンジンの凄まじい速さを秘めている、そんな車だと思います。しかしとんでもない価格でとても手が出せません。 ずっと諦めていた所にとてもリーズナブルな中古車が見つかり、早速足を運んでみました。やはり価格相応で年式は10年落ち、走行距離は40,000キロ、初期型のため装備が本当に貧弱です。ナビすらないどころかオーディオの酷い事といったら、その辺のファミリーカーよりも音が悪いです。オートライトもなく今の車に慣れた私にはとても不便な車に見えました。しかしいざ乗ってみるとV12エンジンの滑らかな回り方、しかもすごい低速トルクでぐいぐいと車を押し出します。サスペンションも硬めでしなやか、ハンドルも重めでどっしりとした回答性、ブレーキも重くしかしリニアな効き味。まさに男の車です。この優等生とはかけ離れたイギリス車に逆にはまり込んでしまいとうとう購入してしまいました。 さて、すぐにマフラー開発をしたいところですがさすがにナビやオーディオを付けたい!何せナビが無い。DVDも観れない。SDカードも差さらない、ではドライブに行けません。そのデザインのため車両感覚も分からないのでバックカメラ、サイドミラーカメラも付けたい。もう少しいい音で音楽も聴きたいのでスピーカーも替えて、そのためにアンプも追加して、と私が若い頃車を購入した時の儀式をそのまま実行する羽目となりました。今の車は優等生ですから最初から全てが完璧に揃っています。 |
まずはノーマルマフラーから。 なんて大きな消音器でしょう!しかもすごく重い。なんてブサイクな形でしょう。こんなに大きくしなければ消音出来ないのでしょうか?この車はV12エンジンなのでそんなに大きな音は出ないと思いますが・・・ただ、車をよく見てみると消音器がこのリアタイコ一つしかありませんのでこれくらいの大きさが必要なのかもしれません。 |
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写真でお分かりの通りこの車は最初からバルブが付いています。閉じたらとても静かそうですが・・・なんといつも爆音です??こんなに大きな音の訳はないといろいろ調べてみました。そしたらすぐに解明。バルブが閉じません。これはなぜでしょう? この車バルブ制御に負圧を使っていますが、その負圧をエンジンから持ってきておらず小さな電気式コンプレッサーで負圧を作り出し、バキュームタンクに溜めていました。凄い発想ですね。全くコストを無視して作られています。 |
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コンプレッサーにつながる電気配線をディーラーから図面をもらい調べて行くと、電源が供給されないように殺してありました。ここのコントロールもECUから電気信号が出ていて、車速とエンジン回転のみならず、水温、エンジンの負荷などあらゆるパターンでバルブをコントロールしており、コスト度外視の作りが見て取れます。 | |||
さて純正のマフラージョイントを見てみるとバネで摺動する現在最新の結合方法ですが作りが懲りすぎていてガスケット部分がフランジから外れません。しかもこのガスケット1個で8,940円もします。こんなに高くてはいつも交換するたびに使い捨ては出来ません。そこでサイズをよく測定してみると、構造は違うのですがなんと国産で流用できるガスケットを見つけました。これならボルトオンでマフラーに付属して売れます。 | |||
早速取り寄せてこのガスケットに合ってアストンマーティンにもボルトオンのフランジを制作します。 簡単に制作出来ましたのでいよいよマフラーに取り掛かります。 |
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ノーマルと同じでバルブが開いたときは直管になる様に設計し、バルブが閉じたときだけタイコに排気が入る様にします。私の車のノーマルはすぐにタイコに入ってタイコが大きな形をしていますが、最新のヴァンキッシュやヴァンテージは私が作るマフラーと同じ形、構造をしています。 横のアンダーカバーが邪魔で狭いスペースと格闘しながら何とか仮組して、後は外して溶接していきます。 |
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ここでタイコの内部構造を書いておきます。 左右のタイコはつながっていますが真ん中に仕切り板があり左右ともUターンする構造になっています。真ん中の仕切り板はパイプ径より少しだけ小さな穴が開けられていてこの穴が左右を結ぶバイパスの役目をします。Uターンして出口に向かう排気は当社お得意の2重管オリフィス構造で消音と適切な排圧を掛けて低中速トルクを出来るだけアップしています。片側3Lの抜けは実現していなくて、2.5L以下の排気ガスが抜ける容量しかありません。これにより普通に作るマフラーよりも圧倒的に低速トルクを生み出して乗りやすく、低速からぐいぐいと加速するマフラーにしています。音も凄く静かに出来ます。 |
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オリフィス なぜこのようにしているかというと、そうですこのマフラーはバルブ付きで直管の別通路を持っていますから、バルブを開くとタイコを一切通らないストレートな排気の流れになりますので高回転域も完璧な伸びをします。音もV12サウンドを堪能できて気持ちよく胸のすくような走りを実現できます。今から試乗が楽しみです! |
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そして完成! 消音側とバルブ側の構造が良く理解できると思います。そして、美しい作りですね!私自身嬉しくなって来ました。 |
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最後にテールを作ります。 ここを全部溶接してから最後に作らないと歪でディフューザーとテール位置が綺麗に合いません。ですから手間はかかりますがこれを最後に完成させます。前の写真を見てお気付きかも知れませんが、何度も重いマフラーを脱着するためにマフラー取り付けステー(ハンガー部分)先端の抜け防止のボッチが付いていませんでしたよね。容易に何度も脱着出来る様あえて今は溶接せず作業をスムーズに進めていきます。 |
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テールはジョイントにより分割式で多少の精度が狂っても必ずディフューザーのセンターにテールパイプを持って来れる構造です。純正がこの構造をしているので私も同じにして純正バンドをそのまま使用するようにしました。また構造上テール前部分で分割にしないとマフラー吊りフックが掛からず装着できません。純正は緻密に設計されています。 | |||
そして完成! 渾身のマフラーが出来ました。 価格はバルブ付きで |
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早速試乗に出かけます。 エンジン始動極はバルブが閉じていますからすごく静かです。これなら夜の市街地でも問題ありません。低速域は思った通り凄いトルクで、ぐいぐいと車を押し出します。そして高回転域ではバルブが開いて直管となりV12サウンドを堪能出来ます。アクセルレスポンスもよく本当に楽しいマフラーが出来ました。ただ一つ、高回転域の伸びがこれでも素晴らしいのですが本当の実力はもっとあると思います。マフラーの抜けは完璧ですがこの車触媒が6個も搭載されており、エキマニ部分に片側2個、集合してフロントパイプ部に片側1個装着されていて高回転域の伸びを邪魔しています。エキマニ側は2個あるのでいいのですが集合しての所が純正では抜けが悪いと思われます。早速スポーツ触媒を装着して高回転の伸びを改善しようと思います。 |
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この部分触媒だけで分割出来る構造になっているので簡単に制作、交換できますので作業も楽です。 早速外してみました。なんとフランジが鋳物で出来ておりコスト度返しの作りが見て取れます。 やはり純正の触媒のセルは目が細かく抜けがとても悪そうです。500セルぐらいでしょうか?当社は一番抜けのいい200セルで最大サイズのものを使い排気効率を極限まで減らします。 |
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フランジは完全に新設計して純正の内径にピッタリ同じにして何の排気抵抗も無いように制作します。 そして完成! 完全に排気抵抗を無くし抜けのいいスポーツ触媒付きフロントパイプが出来ました。 価格は195800円(税込)です。 |
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早速試乗してきます。 やはり抜けのいい触媒の効果は絶大で高回転が一回り伸びるようになりました。これは気持ちいい!第一触媒が残っているためチェックランプが点灯することもなく安全に乗ることが出来ます。大満足のマフラーが完成しました。 |
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中間パイプも開発しようと思いましたが、ここのパイプはとてもいい形状をしていて潰れもないのでこのままで全く問題ありません。交換しても全く変化はないので純正をそのまま使います。余計なコストはかけたくないですよね! その後バルブの制御を純正から自分自身で任意にコントロールしたいのでリモコンコントロールにします。純正の配管は殺して新たにエンジンルームから負圧を取り、電気式コントロールソレノイドを装着します。 |
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いつも大変面倒で苦労しますが自分で開け閉めするにはこれをしないといけません。 |
エンジンまで配管を持っていきます。 続いてエンジンのサージタンクに負圧取り出し口を装着します。 |
最後まで読んでくださりありがとうございます。 乱筆お許し下さい。 |
株式会社 ジースプロジェクト 代表取締役 澤村 淳 |
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