MERCEDES SLS AMG

 

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メルセデスベンツ SLS AMG

凄いマフラーが出来ましたので開発ストーリーを書きたいと思います。どうか最後まで読んでくだされば幸いです。

とうとうこの車が当社に入ってきました。
完全なAMG専用モデルで他のAMG車両と違ってエンジンもこの車だけのスペシャルエンジンを積んでいます。国産アフターメーカーでこの車のマフラーを手掛けているメーカーはなく海外のメーカーのみラインナップがあり、そのため価格も凄い高価なマフラーしかないのが現状です。取り付けもお決まりのノーマルマフラーを切断してのリアピースの設定で中間部分は更に別売、両方を揃えるととんでもない価格になり、またノーマルを切断してしまうので元に戻りません。これでは私自身満足できないのでシュレンザーを制作しようと思いました。当然ノーマルはそのままで保管して頂き当社は最初から中間部、リア部のフルピース設定で制作します。

それでは製作の前にノーマル車両で走ってきて特性を見てみます。
なんて凄いパワーでしょうか!ノーマルで571PSものパワーは伊達ではありません。レスポンスも素晴らしくさすがドライサンプのレーシングエンジンです。ベースとなったM156エンジンとはボア、ストロークが同じなだけで後は全て専用設計なのも頷けます。私のC63とも比べ物にならないパワー、レスポンスで本当に羨ましいエンジンです。ただ最初の始動時の音は凄まじく、静かにしたいです。街乗りの低回転域ももう少し静かにして、逆に高回転時はもっとパンチのある、胸が躍る排気音にしたいです。出力特性も高回転時にもっとパワーが欲しいです。これを目指して作っていこうと思いました。
スーパーカーなのですがそれほど乗りにくくなく、普段の街乗り、買い物にも十分対応出来てオールマイティーに使える素晴らしい車に仕上がっています。
それでも不満はあって、私でもすでにシートを一番後ろに下げて乗らないと狭いので、背の高い人は窮屈でしょう。ミッドシップではないのにどうしてこんなに室内を狭くしてしまったのでしょうか?せめてSLの様にシートの後ろに小物入れぐらい欲しかった。フェラーリのV12フロントエンジン車の様に後ろに荷物スペースが欲しかった。せっかくのオールマイティー車なのにこれでは走りだけの車になりそうです。
まあこれだけの車を買える人は当然セカンドカーを持っていますので心配無用なのでしょうね。

それでは製作に入ります。まずはノーマルマフラーを外していきます。
 
??何と!この車ノーマルマフラーが簡単には取り外しできません。バーやサブフレームがそこらじゅうを張り巡らせていてそのサブフレームに電子ユニットなどが満載されています。
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苦労して全部を取り外しても今度はマフラーステーも抜く事が出来ません。仕方ないのでステー取付けボルトも全部外します。それでもサブピースまで全部一体のマフラーは巨大で簡単には取外し出来ず、3人がかりようやく車体から降ろせました。もう二度とノーマルには戻したくない巨大さと難易度です。 MERCEDES_SLS_AMG_05 MERCEDES_SLS_AMG_06
MERCEDES_SLS_AMG_07 MERCEDES_SLS_AMG_08 外したノーマルマフラーをよく見てみます。
流石はAMG、最初からオール70φで出来ていて抜けも良さそうです。しかしリアタイコがいけません。隔壁式で排気効率が悪そうです。しかもこのクラスには珍しく排気バルブがありません。高回転時に抜けのいい専用通路を持っていないです。だから私が乗った時に高回転の伸びに不満を持ったのですね。
したがってこの車のマフラーはバルブ無しは作らず、最初からバルブ付きを標準として作っていきます。
まずはフランジ部。
当然最新のベンツ取り付け部の形をしていると思っていましたが、左側が旧型のW211,W219の55AMG用で右側が私のC63と同じ最新の形のお椀型になっていました。不思議な事ですが何故か分かりません。しかし当社にすでにある型なのですぐに製作に入れました。
 
ノーマルと同じ70φパイプをバーやサブフレームを付けたり外したりしながら慎重にクリアランスを確保して作っていきます。この部分は排気温度も高いから中間タイコ内部も絞りのない70φにて製作します。ここを絞ると高回転の抜けが悪くなってしまいます。
そしてサブピースがまず完成!メンテナンスしやすいように2分割式にしてフランジによりリアピースと結合します。
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そして今度はリアピース。サブフレームを取り付けするとスペースが狭く大変で、リアタイコすら位置決め出来ません。これでは制作できないのでSLS専用リアタイコ位置決め工具まで製作する羽目になりました。狭いスペースに消音通路とバルブ通路を考えながら慎重に製作していきます。
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MERCEDES_SLS_AMG_16MERCEDES_SLS_AMG_17バルブ側の通路は完全な直管でノーマルにはない高回転の伸びをとパワーを実現します。音もNAエンジンの直管ですので、まさにスーパーカーサウンドを満喫出来る迫力のサウンドを奏でるでしょう。そしてバルブを閉じたら消音タイコに入り静かにしないとなりません。このメリハリの大きさが重要でバルブを閉じてもあまり静かにならない市販マフラーが多すぎます。搭載できる最大サイズの大きめのタイコを使い最高の消音を実現します。しかも中低速トルクをモリモリと出して本当に街中では乗り易く仕上げるために2重管オリフィス構造として片側3.1Lの排気圧力を緻密に計算しオリフィス径を算出します。左右の排気はタイコ中心の仕切り板によって左は左に、右は右に排気されますが、仕切り板には左右の排気圧力を均等にするバイパス穴が開いていて左右のバランスを整えています。まずは型取りなので型取り用タイコをセットして製作し、その後治具を作っていきます。
 
そして完成!
 
その取り回し、美しさはまさにスーパーカーのマフラーですね。テールパイプがバルブ側と消音タイコ側の2系統ありますのですぐに気が付くと思います。本当に苦労しましたが完成出来て満足です。
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MERCEDES_SLS_AMG_22 取り付けの前にバルブの配管、配線を行います。SLSは最初からバルブが付いていないので新たにエンジンから負圧の取出し配管が必要です。
調べてみると圧力センサーに行くバキュームパイプが見つかりましたが、ここから取り出すとセンサーの信号が微妙にずれてエンジン制御に悪影響を与えるかもしれないので今回はやめました。そこで最も安全なキャニスター通路から取り出す事にします。
ここのパイプは太く、普通は8φありますので使用するスリーワイは(三つ又は)8-8-4を使用します。しかしこの車はもっと太く9φありましたので使用するスリーワイは9-9-4が必要です。そんな部品は売っていないので、これは削り出して製作する羽目になりました。色々と大変です。 MERCEDES_SLS_AMG_23
配管の取り回しはこの車独自の巨大なボンネットが物語る広いスペースがありますので、エキマニのそばを通ることなく熱に影響されずに持っていく事が出来、簡単でした。後はキャニスターラインに這わせて排気バルブまで持っていきます。 MERCEDES_SLS_AMG_24 MERCEDES_SLS_AMG_25
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そして今度は電源の取出しです。ソレノイドバルブに電源を持っていかないとリモコンが作動しませんのでACCを室内から取り出す必要があります。
この車はトランクルームにヒューズボックスがありますのでそこから取り出す事にします。
テスターを使いACCを探し当てます。
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MERCEDES_SLS_AMG_30 MERCEDES_SLS_AMG_31 そして完成。しっかりと配管処理、配線処理が必要ですので信頼できるプロショップに必ず依頼してください。特に熱処理と擦れによる亀裂、ショートは絶対に起こさないようにする処理と知識が必要です。プロの人なら経年変化も考えての処理をしてくれますので安心ですよね。この部分の工賃、私が施工して3〜5万円頂きます。
当社W197 SLS AMGシュレンザーマフラーの価格は688,000円です。これには最初から左右バルブシステム、専用ソレノイドバルブ、専用スリーワイ、ワンウエイバルブ、リモコン2個セットが付属するフルセットとなります。どうかよろしくお願いします。
       
MERCEDES_SLS_AMG_32さていよいよ試乗してきます。
 
まずはエンジン始動。バルブを閉めます。
なんて静かでしょうか!これなら近所迷惑とは無縁の車に変身しました。MERCEDES_SLS_AMG_33アクセルを踏んでも凄く静か。ノーマルよりも遥かに静かで街乗りも気になりません。そしてリモコンをオンにすると・・・凄い音量です!!まさにスーパーカーサウンド、気持ちいい!
そのままアクセルを全開にすると、ホイールスピンしながら加速します。凄いパワーです。これほどのパワーアップとは想像していませんでした。危ないです。途中でアクセルを戻しました。これならオーナーの皆さんも必ず満足してくれると思います。そしてまたバルブを閉めて走ります。静かな上に2重管オリフィスの適度な排圧が掛かっていますのでトルクもモリモリで凄く乗り易いです。私が過去に作ってマフラーで一番の出来で文句のつけようがありません。バルブのオンオフでこれほど変化するマフラーは初めてです。本当に満足するマフラーが完成して嬉しいです。今回は音の動画を撮りましたのでご参考にしてください。バルブを開いたときは音が歪んでしまっています。申し訳ございません。
どうかオーナーの皆様、当社シュレンザーをよろしくお願いします。

 

 

皆様の参考になりましたら幸いです。

乱筆お許し下さい。

 
株式会社 ジースプロジェクト

代表取締役  澤村 淳

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