MERCEDES SLS AMG
メルセデスベンツ SLS AMG 凄いマフラーが出来ましたので開発ストーリーを書きたいと思います。どうか最後まで読んでくだされば幸いです。 とうとうこの車が当社に入ってきました。 それでは製作の前にノーマル車両で走ってきて特性を見てみます。 |
それでは製作に入ります。まずはノーマルマフラーを外していきます。 ??何と!この車ノーマルマフラーが簡単には取り外しできません。バーやサブフレームがそこらじゅうを張り巡らせていてそのサブフレームに電子ユニットなどが満載されています。 |
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まずはフランジ部。 当然最新のベンツ取り付け部の形をしていると思っていましたが、左側が旧型のW211,W219の55AMG用で右側が私のC63と同じ最新の形のお椀型になっていました。不思議な事ですが何故か分かりません。しかし当社にすでにある型なのですぐに製作に入れました。 ノーマルと同じ70φパイプをバーやサブフレームを付けたり外したりしながら慎重にクリアランスを確保して作っていきます。この部分は排気温度も高いから中間タイコ内部も絞りのない70φにて製作します。ここを絞ると高回転の抜けが悪くなってしまいます。 そしてサブピースがまず完成!メンテナンスしやすいように2分割式にしてフランジによりリアピースと結合します。 |
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そして今度はリアピース。サブフレームを取り付けするとスペースが狭く大変で、リアタイコすら位置決め出来ません。これでは制作できないのでSLS専用リアタイコ位置決め工具まで製作する羽目になりました。狭いスペースに消音通路とバルブ通路を考えながら慎重に製作していきます。 | ||
バルブ側の通路は完全な直管でノーマルにはない高回転の伸びをとパワーを実現します。音もNAエンジンの直管ですので、まさにスーパーカーサウンドを満喫出来る迫力のサウンドを奏でるでしょう。そしてバルブを閉じたら消音タイコに入り静かにしないとなりません。このメリハリの大きさが重要でバルブを閉じてもあまり静かにならない市販マフラーが多すぎます。搭載できる最大サイズの大きめのタイコを使い最高の消音を実現します。しかも中低速トルクをモリモリと出して本当に街中では乗り易く仕上げるために2重管オリフィス構造として片側3.1Lの排気圧力を緻密に計算しオリフィス径を算出します。左右の排気はタイコ中心の仕切り板によって左は左に、右は右に排気されますが、仕切り板には左右の排気圧力を均等にするバイパス穴が開いていて左右のバランスを整えています。まずは型取りなので型取り用タイコをセットして製作し、その後治具を作っていきます。 | ||
そして完成! その取り回し、美しさはまさにスーパーカーのマフラーですね。テールパイプがバルブ側と消音タイコ側の2系統ありますのですぐに気が付くと思います。本当に苦労しましたが完成出来て満足です。 |
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取り付けの前にバルブの配管、配線を行います。SLSは最初からバルブが付いていないので新たにエンジンから負圧の取出し配管が必要です。 調べてみると圧力センサーに行くバキュームパイプが見つかりましたが、ここから取り出すとセンサーの信号が微妙にずれてエンジン制御に悪影響を与えるかもしれないので今回はやめました。そこで最も安全なキャニスター通路から取り出す事にします。 |
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ここのパイプは太く、普通は8φありますので使用するスリーワイは(三つ又は)8-8-4を使用します。しかしこの車はもっと太く9φありましたので使用するスリーワイは9-9-4が必要です。そんな部品は売っていないので、これは削り出して製作する羽目になりました。色々と大変です。 | ||
配管の取り回しはこの車独自の巨大なボンネットが物語る広いスペースがありますので、エキマニのそばを通ることなく熱に影響されずに持っていく事が出来、簡単でした。後はキャニスターラインに這わせて排気バルブまで持っていきます。 | ||
皆様の参考になりましたら幸いです。 乱筆お許し下さい。 |
株式会社 ジースプロジェクト 代表取締役 澤村 淳 |
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