FERRARI 360

 

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保安基準適合

今回はフェラーリの制作について書いてみたいと思います。最後まで読んでくだされば幸いです。

最近スーパーカーの入庫が多くなってきました。オーナーさんの抱えている問題はほとんど同じで、「もっと音量を小さくしてほしい!」と希望されます。車を購入したもののうるさくて乗っていられない、もしくはマフラーを購入したのにうるさくて乗れない。と訴えてまいります。

先日お越しいただいたポルシェ911のオーナーの方はせっかく新品のマフラーを購入したのに2,3日で当社に持ってきました。
本当にもったいない話です。

しかもこのクラスのマフラーは新品で50万円は当たり前、下手をすると100万円の製品も少なくありません。

取り付け工賃を含むといったいいくらになるのでしょうか?私がワンオフでお見積りをしても55万円を超えることは殆どなく、しかも工賃込ですから「安い!なぜこんなに安いのですか?」とよく言われます。

私自身しっかりと工賃を計算して提示する金額ですから逆に驚きです!!また、平成22年度より施行された加速騒音など行政が社会への取り組みを進めているのにこのクラスは野放し状態です。

これではいけません。今後当社はスーパーカークラスにも参入し、音に悩んでいる多くのお客様に気持ち良い音量で格段に速いマフラーを提供していきたいと思います。

どうか皆様宜しくお願いいたします。

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さてまずは今まで装着されていたマフラーの音量を測定してみます。なんと!!こんな事が・・・

当社で測定出来る音量数値を超えています。騒音計の針が振り切れて“OVER”と表示されました。124dB以上!絶句です!!しかも当社の近所の家の人たちから苦情が来そうです。

これはいけません。このマフラー、バルブが付いているのにバルブを閉じてこの有り様。バルブの意味がありませんね。
しかも開くと本当の直管です。エンジンが物凄いので暴走族以上の音量です。

私自身絶句でした。

さてそれではマフラー制作に入ります。まずは今のマフラーを外します。

 

 

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アウディR8より複雑な車は無いでしょうから、リアタイヤを外しアンダーカバー、フェンダーカバー、そしてリアバンパーとお決まりのコースで外していきます。なお今回も養生は半端なく、少しのすれ傷すら出来ない様に完璧に施して作業に入ります。

ドイツ車に比べてイタリア車の何と簡単な作りでしょう!日本人とドイツ人より手先の細かい物作りは難しいのでしょうね。

簡単にバンパーまで外れるのですが、マフラーが外れないです。
バンドによる差し込みという簡単な作りは覚悟していましたが、バンドを外してマフラーを抜こうにもフレームに当たってこれ以上後ろに行きません。エキマニと触媒の連結部分を外して触媒を前にずらして抜かない事には外れません。
この辺り、手も工具も入り辛いです。

頑張って何とかマフラーを外しました。

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しかし・・・

何と小さなタイコでしょう!当社の砲弾タイコよりはるかに小さくて、これで消音出来る訳がありません。
しかも排圧のコントロールなんて何もなくストレート構造で作ってあるだけです。
これは私が作ったら凄いパワーが出そうです!

まずはマフラーが簡単に外れるように差し込のすぐ後ろにフランジを付けます。
これでマフラーを上に持ち上げれば簡単に外すことが出来るようになります。

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続いてタイコの制作。

今回は360モデナなので片バンク1.8Lづつ計3.6Lです。
しかし凄いエキマニ&触媒で今まで見て来た車の中でも完璧な形状で、しかも触媒も凄い大型なのに250セルぐらいの網目です。

アフターパーツ以上の排気系を最初から持っている車は初めて見ました。さすがフェラーリです。

それでいて凄い高回転まで回りますので、まるでバイクのエンジンが車に載っているかのようです。

排圧は5Lクラスで計算して、更に各バンクストレート構造にしないと高回転が気持ちよく伸びません。それでトルクを出すのですから超ロングオリフィスを設計しました。

これで消音するためのタイコサイズは・・・スペースに入る最大級のサイズが必要です!これですら少し足りない計算になりますからアフターパーツはほぼ全て大音量のマフラーなんでしょうね。そうでなければ何重にも隔壁が入っているはずです。

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排圧も最大限に高いでしょうからタイコの補強は何重にも必要になり、TIG溶接で目が痛くなりました。

後はレイアウトできるように作っていきます。

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今度はここで問題が・・・

この車マフラーを固定するステーが左右1か所しか無いではないですか!しかもミッションにリジッとマウント。

これでは経年変化でマフラー自体が歪んでしまいます。しかも振動でクラックが入りそうです。

したがって下に行く方向の力を無くすために下にステーを追加して、後はアウディ以上に各場所ごとに補強します。
写真で見ると機能美がきれいですね!

 

後はテール部を製作して組み上げれば完成です。

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後はテール部を製作して組み上げれば完成です。

そして始動してみると・・・

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う〜ん、静かになった。それでも音量は105dBと10年前の保安基準をクリアーできる数値です。
これでもフェラーリのマフラーでは最大に静かなんでしょうね!

音質はオリフィスによる排気の溜めのあるパワー感のあるサウンドです。力のみなぎる音は聞いていて気持ちがいいですね!

所でいわゆるフェラーリサウンドではありません。私自身あれは消音し切れず音が割れているに過ぎない音質だと分かっておりました。

消音機の絶対容量が不足しているために音割れが起こっているのです。

ですからあの音がいいと言われれば小さなタイコで音割れを起こせばいいだけですから簡単ですし、排気の溜めを無くせばよりあの音が出ます。しかし性能を考えるとお勧めできません。

この辺り今後様々なお客様とお話しして分かっていただけたら幸いです。
何より爆音は今後流行らないと私自身は思っております。

いずれ何かの車でパワーチェックしてまいりたいと思っております。

スーパーカーオーナーの方今しばらくお待ちください。

今回の金額はワンオフマフラー制作代528000円(税込)、脱着、装着工賃合計66000円(税込)です。

後日オーナーの方から低速トルクが格段にアップして、高回転も今までよりも伸びて気持ちがいい!とお褒めの連絡をいただきました。全域で排圧を管理して制作しましたので当たり前なのですが、やはり気に入っていただけると嬉しいですね!!

 

オーナーの方々の参考になれば幸いです

乱筆お許し下さい。

 
株式会社 ジースプロジェクト

代表取締役  澤村 淳

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