PORSCHE 911 Turbo (Type 997)
ポルシェ 911 ターボ(997型) とうとうワンオフで入庫してきました。今までNAなら何度も作りましたが今回は究極のTBです。一番レイアウトの厳しい、世界屈指のスポーツカー。お客様がバルブ付きマフラーを希望されたので私の渾身の力作、是非開発ストーリーを書いてみたいと思いこの書面を書いています。最後まで読んでくだされば幸いです。 さて、いよいよ制作に取り掛かります。 まずは定番タイヤハウス、テールランプを外しバンパーに至ります。意外にメンテナンスしやすいように初めから設計されており難しいことはありません。
バンパーフレーム、遮熱版を外したらマフラーが見えてきます。 |
これで簡単に外れるのですが、マフラーに付いているAFセンサー、O2センサーの配線のカプラーが外れません。手が入りません。仕方ないのでエンジンルームをばらしていきます。やはりR8みたいに大変になってきました。しかしよくもこんなに狭いスペースにエンジン、マフラー、補機類を納めているものです。カプラーを取るために固定してある配線結束が邪魔で本当に苦労します。 タービン後のフランジボルトが熱で固着、スタッドボルトごと何本も外れてしまいます。スタッドボルトを外す工具、O2センサーを狭い所で外す工具などいろいろな工具を持っていないとこの手の車の整備は厳しいです。
タービンアウトレットのフランジですが、こんな専用のフランジを持っているわけがありませんので専用設計してレーザーで制作しました。 |
最初から触媒ごと一体式ですのでスポーツ触媒から制作していきます。 そして完成、取り付け
次にメインタイコの制作です。 ノーマルのように一体式にするかメンテナンスの良い左右別体式にするか悩みましたが左右の排圧のバイパスが出来る一体式にしました。右側の排気ガスは右側に、左側の排気ガスは左側に折り返す構造で、真ん中でバイパスさせています。バイパスの径もパイプ径と等しい60.5φにしてあります。 バルブ付きですのでタイコ側は出来る限り消音したいので可能な限りのオリフィスを使いました。 |
タイコの取り付けもノーマルと同様の所にバンドで取り付けるようにして、タイコにピッタリの座代を制作、溶接してセットし、バンドも専用に一から制作しました。こういう細かな技の数々がマフラーの仕上がりに影響しますし、私の腕の見せ所、こだわりでもあります。皆さんにも見ていただきたいです。 後は配管、バルブをセットして(狭いスペースにセットするのは大変です)お客様の希望のテールを仮合わせ。何度もバンパーを取り付け、位置を確認します。 後は元通りにエンジンルーム内、バンパー、テールランプなどを取り付けて遂に完成しました。いやはや本当に苦労しました。 そしていよいよ試乗します。 |
最後まで読んでくださり有難うございました。 |
乱筆お許し下さい。 |
株式会社 ジースプロジェクト 代表取締役 澤村 淳 |
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